部屋とアブとワタシ。〜真夜中の無駄で不毛なバトル〜

真夜中に無意味なバトルが…

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「カタカタカタカタカタ……、ふ〜疲れたな」

その日は朝から、ほぼ休憩を取らずに作業に没頭していました。月末ということもあり、一日仕事に追われており、僕の指は始終忙しくキーボードを叩いていました。

気付けば、時計はもう夜の22時。ほぼノンストップでやっていました。

しかし頑張った甲斐もあり、仕事完了まであともう少し! ゴールは目の前です。こういう時はヘタに休まず、そのままの勢いでやりきったほうが良さそうです。

この仕事が終わったら一杯やろう! 良い仕事をした後の味は格別だぞ! 自分へのご褒美を思い浮かべながら、再び僕は手を動かしました。

リズムに乗って良い感じに作業が進み、ゴールが見えてきました。「もう少し!」このまま完走、完走……。

と、その時でした。

「ブ〜ン、カン! カン! カン! カン! カン! カン!」嫌な音が部屋中に鳴り響きました。「え!? なになに?? 何事?」

一瞬なにが起こったのかわかりませんでしたが、その“羽音”は聞き覚えがありました。恐る恐る天井を照らす電球を見上げると、そこには黒い物体がいました。

ハチ? カナブン? ハエ? いや…あ、アブだ!! しかもデカイ!!黒豆のようにデカいアブが僕を不気味に見下ろしていました。

キミは一体何処から入ってきたのか?? ていうか、なんでアブなんだ?? しかもなんでこんな時間に?? しかもこんな大事な時に!? アタマの中でたくさんのハテナが飛び交いました。

僕の部屋、といっても仕事をするだけの事務所ですが、この事務所には時々思いもしない来客が現れます。以前、観葉植物の鉢をどかしたらヤモリさんがいらっしゃって、部屋の外に追いやるのに悪戦苦闘をしました。ヤモリさん、あなたは一体何処から入ってこられたのですか。

つい先日も部屋に入ろうとしたら、玄関のドアのところに、デカいバッタさんがいらっしゃって思わず驚きのあまり後ずさりしました。バッタさん、なにもドアに張り付かなくてもいいじゃないですか。入れないでしょ。

他にも屋根の軒先に雀さん一家が巣作りしたり……。いや、別に良いのだけど、雀さんココより他にもっと良いところあるでしょ?

そして今回はアブしかもデカい。アブ……あえて「さん」付けはしないぞ。

僕は怒っている。アブが出るだと! まるで「お前の部屋は汚くて居心地が良いな」とでも言いたいのか? いや断じてそんなことはないぞ! 僕の部屋はキレイで清潔だ! たぶん!

くそう! あと少しで仕事が完了する良いところだったのに! もう少しで美味いしく一杯やるところだったのに! しかもデカい…… お前がブンブン、カンカンしてたら仕事に集中できないだろ!

この瞬間、僕のなかで仕事を終わらせるよりも、デカいアブを先に倒すほうが優先順位として上になりました。

「カーン!」22時を廻った夜中、デカいアブVSニンゲン(僕)のバトルのゴングが鳴り響きました。

デカいアブは狭い部屋をブーンと羽音を立て、我が物顔で飛び回り、電球に「カン! カン! カン! カン! カン! カン!」とぶつかり牽制します。

ニンゲン(僕)は雑誌を丸め、「えい!」と、デカいアブめがけ振り下ろすも空振り! 「やぁ!」もう一回空振り! 「たぁ!」また空振り!「コノヤロ!」そして空振り!  ニンゲン無様です。どうやら身体能力はアブが上のようです。

くそう、ニンゲンを舐めるなよ……。身体能力で勝てないのなら知恵で勝負だ。電球の廻りに粘着テープを貼り罠を仕掛けて、お前を動けなくしてやるぜ!

この部屋は俺のモノだと云わんばかりに優雅に飛び回るアブを横目に、僕はせっせと電球の周囲の傘に粘着テープを張り巡らし、アブを取るための罠を仕掛けました。アブよ! 今度、電球にぶつかってカンカンやったときがお前の最後だ。ニヤっ!

アブが罠にかかるのを、今か今かと思いながら待つこと数分。ついにその時が来ました。「ブ〜ン、カン! カン! カン! カン! カン! カン!」「来た! アブよお前の最後だ!」

と、次ぎの瞬間、アブが粘着テープにピタっと停まりました。「やった!」と思わずガッツポーズをとる僕。

……しかし、そこで見たものは信じられない光景でした。

なんと、アブは「こんなの無駄さ! バ〜カ」とあざ笑うかのように、粘着テープの上をまるでタップダンスを踊るが如くスイスイと歩いているではないですか。アブの足には粘着テープは効かないようです。

ガッデム! ファック! あまりの悔しさに喋れないはずの英語が、僕の口から思わず飛び出しました。なんてこった……。身体能力でも知恵でもアブに負けてしまうなんて。

僕は燃え尽きたジョーの如くガックリと肩を下し、椅子に持たれました。もう好きにやってくれよ……。

戦意を喪失した僕に追い打ちをかけるかのように、デカいアブは、勝利の凱旋パレードのように部屋を飛び回ります。「ブ〜ン、カン! カン! カン! カン! カン! カン!」この音が僕にはアブの勝利の雄叫びに聞こえました。

それから暫く時間が経ちました。ん? あれ静かだな。

気がつくとあの嫌な羽音が聞こえてこなくなっていました。あれ? アブはどこにいったのだろう? 部屋中を見渡してみると、いました! デカいアブは床をテクテクと歩いていました。どうやらニンゲンに勝利したことに酔いしれて油断をしているようです。

「チャンスだ!」僕は雑誌を丸め振り下ろしました。「油断大敵! えい!」今度は空振りせずアブへクリーンヒット! ついにアブをしとめました。

「勝った!」ついに僕は真夜中のデカいアブVSニンゲン(僕)のバトルに勝利をしました。長かった、長い戦いでした。

さてさて、アブも無事しとめたことだし自宅に帰るか……、あぁ、そうか仕事が途中だったんだった。もう仕事モードじゃないよ……。次は仕事との勝負の始まりです。こちらも手強そう……。どうせなら、次はもっと良い来客が来てほしいものです。

あ〜…、それにしても、こんな真夜中に無駄で不毛なバトル(苦笑)

本日もお読み頂き、ありがとうございました。

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